リビングのソファーには、見知らぬ高齢男性が 座っていた。稔と同じ歳くらい。
ただ、ひとつ気になるのは、その男性の衣装。 この辺りでは見かけない、変わった服を着てい る。
稔の友人か知り合いだろうか? 初めて会う人 物だ。
前にも、こういう風変わりな訪問者がいたこと を思い出しながら、未来は彼におじぎをした。
「おじいちゃんの友達?」
「ふぉっふぉっふぉっ、この人はなぁ~」
何が楽しいのか、稔はもったいぶって、それ以 上何も話そうとしない。
ソファーに座る高齢男性は、一言、「初めまし て。僕はエルシュと言います。お邪魔しており ます」とだけ言い、微笑している。
外国人? 首をかしげる未来の背後で、いま閉 めたばかりのリビングの扉が開いた。
未来が弾かれたようにそちらを向くと、そこに は青乃臣とエルクが立っていた。
「未来様、おかえりなさいませ」
なつかしい声で、青乃臣が告げる。
「駅前のケーキ屋、メチャクチャ混んでたぜ! 」
赤い鼻をこすりつつそう言うエルクの片手には 、有名ケーキ店の箱が握られている。
「ウソ……。もう会えないと思ってた。どうな ってんの?」
未来は目を丸くし、この場にいる全員の顔を見 回した。
今まで外に出ていたらしい、青乃臣とエルク。 二人の手には、買い出ししてきた物が抱えられ ている。
ソファーに落ち着く謎の男性エルシュは微笑し ていて。
この場でもっともソワソワしている稔。


