「エルク様……」
青乃臣は、エルクがそう言うのを予想していた ので、あまり驚かなかった。しかし、すんなり 、未来との語らいを許すわけにはいかない。
「エルク様、例の件について、私達にはやるべ きことがまだまだ残っています。
今は、一刻も早く、エルシュ様のソウルメイト に会うべきです」
例の件。その一言に、エルクの気持ちはシャン とした。
「……そうだな。わかった。
未来、悪いな。俺様は、もう、行かなきゃなん ねぇ」
「好きにすれば?
止めたって、どうせムダなんだろうし」
未来はそっけない声でエルクを突き放した。
本当なら、もう少しいろいろ話したかった。そ の気持ちは、二人とも同じ。
けれど、未来にはどうすることもできなかった 。
引き止めても、どうせ彼らは自分達の世界に帰 ってしまう。なら、もう、感情をぶつけるだけ ムダだ。
悲しみをこらえるように、未来はうつむく。
青乃臣は、以前と変わらぬ丁寧な足取りで未来 に近づき、おじぎをした。
「未来様。あなたにお会いできて、私も嬉しか ったです。
これからしばらくの間、お別れの時間が訪れて しまいますが、いずれまた……。近い将来、お 会いしましょう、必ず」
「え……?」
未来は、ふてくされていた顔を上げる。
そこにはもう、青乃臣とエルクの姿はなかった 。
“近い将来、必ず、会える……?”
未来は、青乃臣の言葉を胸の中で繰り返す。
本当に会えるかどうかは分からないけれど。
未来にとって、彼らとの再会を願うのは、ひと すじの希望であり、楽しみのひとつとなりそう だった。


