ソウルメイト ‐臨時ヴァンパイアの異世界探索‐


「ちょっ、それは悪かったって…!

とにかく、まずはその手を放せっ…! がふっ 」

胸ぐらを激しく揺さぶられたまま、エルクは苦 しげに返した。

未来はフンと鼻息荒く手を放し、「言い訳なん か聞きたくない」と、そっぽを向く。

「俺様だって、好きで帰ったんじゃねぇ。あの 時は仕方なかったんだよ……」

エルクには、それ以上言葉を紡げなかった。

カンタスターレが迎えに来た。自分は王子とし て、やるべきことがあった。

言いたいことは山ほどあるけど、何を言っても 言い訳になってしまう。

「でも、嬉しいのも確かだぜ」

エルクは頬を赤くし、未来に一歩近付いた。彼 女は泣きそうな横顔で、屋上の下を見下ろして いる。

「魔術失敗したのはショックだけど、それ以上 に、未来に会えて嬉しいんだ、俺様は」

「別に、私は、会いたくなんかなかったし。さ っさと帰れば?」

本当は、もっと別の優しい言葉で出迎えたいの に、未来は真逆の言動をしてしまう。

「たしかに、ここには長くいられないけど、お 前に会えて、本当に嬉しい。

どうしたら信じてくれる? 未来」

エルクは、以前より大人びた顔で未来を見つめ た。

その空気に、未来は思わずエルクと目を合わせ てしまう。

エルクとの別れからそんなに経っていないはず なのに、久しぶりに会う彼は、ずいぶん成長し ているように感じた。未来の胸は、不覚にもド キドキしてしまう。


「エルク様の肩を持つわけではありませんが、 少しよろしいでしょうか?」

ちょうどいいタイミングで、青乃臣が口を挟ん だ。

「エルク様がこちらに空間転移してしまったの は、ソウルメイト探索魔術を失敗したからです 」