エルクは悔しげに、
「失敗!? ウソだろ!
方角と位置情報は間違ってねぇじゃん!」
と、自分の首にぶら下げている懐中時計的なア イテムを手に取った。それは、ソウルメイト探 索魔術を習得したばかりの初心者専用アイテム 《ソウルメイト探知機》で、探したいソウルメ イトの居場所を教えてくれる便利な物。
青乃臣のように、魔術に慣れた人間ならそんな アイテムに頼る必要はないのだが、エルクのよ うに、魔術を使い始めたばかりの者には必要不 可欠なアイテム。
アイテム無しに魔術を使うと、最悪、魔術が暴 発してしまい、見知らぬ異空間に飛ばされ、二度と元の場所に戻れなくなってしまう からだ。
エルクの場合、王子という立場上、青乃臣の付 き添いは絶対なので、ソウルメイト探知機無し でもいいような気がするのだが、万が一のため に持参していた。
しかし、ソウルメイト探知機を持っていても、 エルクの魔術は失敗してしまった。それは、な ぜなのか。
せっかちなエルクにしては、準備を整えてきた というのに。どうしても納得できず、エルクは 焦(じ)れた。
「俺様が失敗するとか、ありえねー!」
そこで、ようやく目の前の出来事を飲み込んだ 未来は、目を三角にしてエルクに詰め寄った。
「失敗とかなんとかゴチャゴチャ言って、わけ わかんないのはこっちなんだけど!
ていうか、アンタ達、私に黙って異世界に帰る なんて、どういうつもり!?」
しまいにはエルクの胸ぐらを両手でつかみ、激 しく揺り動かして、未来は怒りをあらわにした 。
黙って居なくなられた悲しみや、再び彼らに会 えて嬉しいという気持ちを押し隠して……。


