「未来と会うたび、肩の調子が良くなってる気 がする!」
照れつつも、樹里は爽やかに言った。
「ありがとう。未来には、いろいろ聞いてもら ったよね。救われたよ、すごく。
私にはバスケしかないから、それを無くしたら どうなるんだろうって、不安で不安で仕方なか ったんだけど……。
また、あのコにも会わせてね」
あのコ、とは、エルクのことらしい。
未来は、「うん、いつか、そのうちね」と、曖 昧な返事をした。
樹里の肩が良くなり、部活に復帰できることに なった。それはとても嬉しい。
けれど、それを報告したい相手が 、もう、そばにいない……。
エルク達のいた数週間は、非日常であって日常 でもある、不思議な時間だった。
「まるで、玉手箱開けた浦島太郎みたいな気分 だよ」
未来が小声でつぶやくと、「なにか言った?」 と、樹里が振り向いた。
「ううん、何でもない」
未来が返事するのと同時に、屋上の扉が開き、 バスケ部の女子数人がやってきた。樹里に用事 があるらしい。
「ごめん、未来! 月末の試合のことで、今か らミーティングすることになった!」
樹里は申し訳なさそうに謝る。
「いいよ、気にせず行ってきて」
部活していると大変だなぁと思いつつ、未来は 屋上に残った。
昼休み後半はグラウンドやパソコンルームで遊 びたいと考える生徒が多いらしく、屋上で昼食 を食べていた何人かは、どんどんいなくなった 。
「私だけになった」
がらんとした屋上を見渡し、未来はフェンスに もたれる。
すると、見覚えのある光が、上空で四方八方に 点滅した。
「なっ、何!?」
フェンスにしがみつくようにして、未来は警戒 体勢を取った。


