エルクと青乃臣が居なくなって一週間後。
ゴールデンウィークもあっけなく終わってしま った。
未来は、学校の屋上にいた。隣には、同じクラ スのバスケ女子・樹里もいる。
学校では常に明るく振る舞う未来も、なぜか、 連休明けから元気がない。それを心配した樹里 は、食堂で昼食を食べたあと、気分転換にと、 未来を屋上に連れ出したのだ。
屋上は、昼休みにだけ開放されている。ここで 語らう学生は多いが、幸い、今日は空いていた 。
二人は、フェンスのそばに位置するベンチに隣 同士に並んで座り、街の景色を見下ろした。
所々に建つ家や工場が、指先ほどの大きさに見 える。
樹里は、元気よく両腕を回し、言った。
「不思議なんだけど、最近、ウソみたいに肩の 痛みが無くなったんだよね。
昨日接骨院に行ったら、先生も驚いてたよ」
「ほんと!? じゃあ、バスケ辞めずに済むの ?」
「うん! 今日から部活にも出れることになっ た!
接骨院の先生も、もう、前みたいに動いても大 丈夫って言ってくれたんだ」
「よかった……」
樹里ちゃん、バスケ好きだもんね、と、付け足 しながら、未来は、エルクと青乃臣のことを思 い出していた。
…――ゴールデンウィークが始まって間もなく 、エルク達が屋敷から居なくなった。
青乃臣が残してくれた魔術飴は冷蔵庫に残って いたので、それを舐(な)めつつ、未来はひと り、寂しさを紛らわすために散歩に出かけた。
途中、何となく寄ったコンビニで、偶然にも樹 里と出会ったのである。
「よく会うよね」なんて言い合いながら樹里と 共にコンビニを出ると、何気ない話をしつつ、 未来は、バッグに入れておいた魔術飴を樹里に 渡した。コンビニで買った風を装って……。
市販品には全くない飴なのに、樹里は特に怪し んだりせず、普通に食べてくれた。
連休明けの今朝。数日間ぶりに樹里と顔を合わ せた時、彼女は「この前の飴おいしかった、あ りがと!」なんて言うものだから、未来はさり げなく、魔術飴がどっさり入った袋を樹里に渡 したのだった。
その効果が、さっそく出始めたらしい。


