青乃臣に電話してきた高齢男性、改め、エルシ ュは、青乃臣の部屋に通されることになった。
本当ならばエルシュを帰し、青乃臣は執事の仕 事をしなければならないのだが、日頃真面目に 働く青乃臣を評価し、執事長が特別に時間をく れたのである。
青乃臣の部屋はこざっぱりとしていた。
青乃臣は、窓際に置かれたソファーにエルシュ を座らせる。エルクも同席した。
青乃臣の淹(い)れてくれたハーブティーを一 気飲みし、エルシュは語り始めた。
「クロロプラスト(ここ)も、いいとこだとは 思うし、恵まれた土地に生まれてこれたことに 、僕は感謝しているよ。
でもね、何かが足りないんだよ」
申し訳なさげにエルクを見て、「ごめんよ、王 子様の前でこんなこと言って」と謝り、エルシ ュは言葉を続けた。
「足りないもの……。そう、それは、ロマン!
僕は、ずっと昔から、誰も見たことのない未知 の領域に…異世界に憧れていたんだよっ!
僕にソウルメイトがいるかどうか、調べてみて くれないか!?
もっと若ければ、自分でソウルメイトなんとか 魔術も習得できるんだろうけど、この歳じゃ、 ちょっとね……。まあ、僕は、若い頃から難し いことを覚えるのが苦手だったから、高等魔術師の資格を持つ青乃臣君には感心するよ』
エルシュは寂しそうな顔で、今年70歳になった とつぶやいた。
そんなエルシュが気の毒になり、エルクは青乃 臣に尋ねる。
「なぁ、何とかならねぇか?」
「そうですね。私などでよろしければ、エルシ ュ様のソウルメイトを探索させていただきます …!」
青乃臣の瞳に迷いはなかった。


