ソウルメイト ‐臨時ヴァンパイアの異世界探索‐


国民からの反響が大きかったことに、エルクは 満足していた。

魔術講座を受けに来た最後の一人が帰宅すると 、エルクは大きく伸びをし、

「昨日の記者会見、国民のみんなはわかってく れたみたいだな!

ムダにならなくてホントよかったぜ」

「エルク様のお話は、本当に感動しましたよ。 『心にしみる』という表現がピッタリあいます 。国民の皆様にも、その真心が伝わったのでし ょう。

ところで……」

青乃臣は場内の出入口を見て、残念そうに息を ついた。

「今日1日、来場者の方をくまなく見ていまし たが、昨日お電話を下さった方はいらっしゃら なかったようですね……」

「何か急用でもできたんじゃね?

明日には来るだろ」

エルクは大して深く考えず、どっしり構えてい た。今日の来場者数を見て、自分の決断に自信 を持ったのである。

「だといいのですが……」

青乃臣は、いまいち浮かない顔をしていた。

夕方には、魔術指南場の門を閉めることになっ ている。エルクも青乃臣も、夕方以降は、それ ぞれ別の仕事をしなければならない。


「おい! 君! 待ってくれ!」

青乃臣が城門を閉めようとした直前になって、 一人の老人がそれを止めようとした。

「昨日、電話しただろ!

異世界探索の件で!」

「もしかして、あなた様は、昨日お電話を下さ った…!」

青乃臣は男性の顔を見た。真っ白な髪とは真逆 に、高齢男性の肌はツヤツヤしておりかなり若 々しかった。

「そうだよ、青乃臣君!

申し遅れてごめんよ。僕のことはエルシュとで も呼んでくれるか」