「エルク様、意地っ張りなところは相変わらず ですね。ふふふ」
青乃臣は、鼻だけで笑う。
エルクは真っ赤な顔をして、
「別に、意地なんか張ってねぇよ!
そんなことより、仕事だ仕事!
きっと今ごろ、ソウルメイト探索魔術について 、国民から、問い合せの電話やメールが殺到し てるぞ」
エルクは気恥ずかしさをごまかすべく、王子専 用執務室に急いだ。
いつまでも、叶わなかった恋に縛られているわ けにはいかない。
もう二度と未来には会えない。そう考えると寂 しいけれど、未来と過ごした日々を忘れて前に 進むために、エルクは無理をして張り切った。
エルクの心情に寄り添うべく、青乃臣は「そう ですね、やることはまだたくさんございますよ 」と、主の背中を押した。
そこへ、城の全執事を束ねる執事長が現れ、急 ぎ足な二人を呼び止めた。
「エルク様、お取り込み中のところ失礼いたし ます。
ラファイエ執事、君に電話が入っている。国民 からだ」
初老の執事長が、持ち運び可能な携帯電話を片 手に、青乃臣に近づく。
それは、国民からの問い合わせの電話だった。 普通の問い合わせと違うのは、相手が青乃臣を 指名してきたことである。
あらかじめ、問い合わせに対応する係員は大勢 配置しておいたので、本来なら、わざわざ責任 者の青乃臣が対応する必要はないのだが、相手 はなぜだか、青乃臣と話をしたがっている。
青乃臣は、執事長に礼をしながらためらいがち に電話機を受けとると、
「もしもし、お電話かわりました、青乃臣=ラ ファイエでございます。
お電話くださり、ありがとうございます。いか がいたしましたでしょうか?」
『さっきの記者会見、見たよ!
君、ソウルメイトを探す魔術を使った時に、エ ルク様を異世界に行かせたんだよね!? それ は本当なのかい!?」
興奮気味に質問してきたのは、陽気な高齢男性 だった。
この感覚に知ってる感を覚えつつ、青乃臣は柔 らかい口調で受け答えする。
「はい、さようでございます」
『そうかい、そうかい! 嬉しいねぇ!
僕はね、ソウルメイトうんぬんの件より、異世 界探索の方が気になってるんだよ!
君達の言うこと、信じるよ。
エルク様の話によれば、僕にも、異世界に住む ソウルメイトがいるかもしれないってことだろ う!?』


