ほどなくして、エルクが記者会見の場に姿を現した。彼の斜め後ろには、青乃臣がいる。
エルクは、目前に広がる人垣を見渡すと、城内 とは真逆の口調で、言葉を切り出した。
「お待たせいたしました。お忙しい中、お集ま りいただき、心からお礼申し上げます。
今日は、クロロプラスト王国の皆様にご報告し たいことがございますゆえ、こういう場を設け させていただきました」
エルクの声は、マイク越しに周辺へと響いた。
ざわついていた人々も、口を閉じエルクに注目 する。
人々の顔を出来るだけ目にいれるべく、もう一 度辺りを見回すと、エルクは言葉を継いだ。
「昨日まで、この国は非常に危険な状態にあり ました。
国民の皆様もご存知の通り、干魃(かんばつ) により大地がヒビ割れ、氷の雨が降り、砂を大 量に含んだ巨大竜巻が街を飲み込み、家屋は倒 壊し、色見鮮やかだった草花も枯れていきまし た。
現在、それらの状況はおさまり、自然の力も回 復へと向かっておりますが、壊れた建物に関し ては、復興までにお時間をいただくことになり ます。
国民の皆様には、大変ご迷惑をおかけしました 。心よりお詫び申し上げます」
いったん言葉を区切り、エルクは頭を下げた。 そばの青乃臣も、同じようにする。
「なんでエルク様が謝るんだい?」
最前列にいた老婆が、困惑している。


