未来が泣きじゃくっている頃、エルクと青乃臣 はアムド城の王子専用執務室にいた。

二人は、夜中に帰還してから一度も眠らず昼を 迎えた。

室内のきらびやかな装飾品に負けない、華美な 正装でエルクは窓際に立つ。

「もうすぐだな、ジョー」

「エルク様、準備はよろしいですか?」

「ああ…!」

これから、アムド城の城門を解放し、国民に向 けて新たな発表をすることになっていた。カメ ラの取材も入る。緊急記者会見と言ってもいい だろう。

この予定を決めたのはエルクである。彼が、国 に帰還し、さっそくやりたいと言っていたのが 、この記者会見である。

「アムド城の王子、エルク様から、国民の皆様 に発表したいことがあるそうです!

エルク様はもうじき、こちらにみえます!」

アムド城前に待機していたアナウンサーが、テ レビ映像の中、興奮気味に告げた。

それを横目に、エルクは執務室を出ようとする 。

「ジョー。これから俺様のすることは間違って ない。

そう教えてくれたのはお前だ。ありがとな」

「私も全力でサポートさせていただきますよ、 エルク様!」

「頼む。いくぞ!」

颯爽と記者会見に向かうエルク。その後ろに続 く青乃臣の表情は、今まででもっとも嬉しそう に見えた。