青乃臣が空間転移魔術を使うと、ものの5秒で 、エルクと青乃臣は学校に到着した。カンタス ターレとの待ち合わせ場所である。

「やはり、こちらに来て変わったようだな」

二人が空中から地面に着地するのと同時に、や や感心したような声音でそう言ったのはカンタ スターレだった。

肌寒い夜。長時間ここで待機していたとは思え ないほど、カンタスターレはどっしり構えてい た。クシャミひとつせずに。

カンタスターレは二人の前に来ると、エルクを 見た。

「前のお前だったら、この待ち合わせの約束を 守らず、自分のためだけに私の元から逃げ出し ていただろう。

来てくれるとは思わなかったぞ、エルク」

「言っただろ。これから俺様は、自分のやり方 でアムド城を支えていくつもりだ。

今までのやり方だけに縛られるのはゴメンだ。 そんなの、つまんねぇしな…!

まず、手始めにやりたいことがある。

さっさと帰るぞ!」

「口のきき方は相変わらずのようだな。

その発言、口先だけではないことを願わせても らおうか……」

「当たり前だ! 見てろよ、これからの俺様を …!」

「ちょっと異世界に来たくらいで、偉くなった もんだ。ったく……」

威圧的な口調ながらも、カンタスターレは薄い 微笑みを浮かべていた。

アムド家の後継者問題への不安も消え去り、息 子エルクの成長を肌で感じ、カンタスターレは 幸せの極みであった。

今後、クロロプラスト王国がどうなっていくの か、エルクの提案に任せるのは不安でもあるが 、楽しみの方が大きい。