「なるほどな。ラファイエ家限定で日本語使っ てたっていうのなら、ジョーの活字好きにも納 得いくわ。
……って、ん!? おかしいぞ!
俺様は日本語なんて習ったことないのに、フツ ーに読めたぜ!?」
エルクは先日、リビングで日本語入りの絵本を 読んだ。
その時は他事を考えていたので、文字の違いな ど全く気にならなかったが、エルクは本来、日本語を読めない。
いつだったか、青乃臣が公園の地面に指で書い た《春夏秋冬》も、自分の記憶から引き出して 綴ることはできない。
エルクの疑問に答えたのは青乃臣だった。
「おそらく、エルク様の身に、ヴァンパイア質 が覚醒していたからでしょう」
「スゲー。ヴァンパイアの能力って、寝てばっ かの強制睡眠モードだけじゃないんだなっ」
喜ぶエルクを横目に、青乃臣は心の中でこう付 け足した。
“もっとも、カンタスターレ様がこちらの世界 に来た影響でエルク様のヴァンパイア質は弱ま りつつあるので、今のエルク様は、一切日本語 を読めない状態に戻っているでしょうけれど”


