未来にとっては何気ない、これといって深い意 味などない、世間話の延長的な質問だったが、 それは意図せぬ形で青乃臣を驚かせることにな った。
「こちらのお屋敷に住まわせていただいた日以 来、いつ、そのようなご質問をされるだろうか 、と、内心穏やかではありませんでしたよ」
青乃臣は落ち着いた口調ながらも、ややあわて ているようだった。
お好み焼きを食べつつ二人の話を聞いていたエ ルクも、さすがに気になり、
「なんだよ、お前らしくないじゃん。
名前のこと突っ込まれるのが、そんなにヤバい の?
それとも、なんだ? まさかとは思うけど、主 の俺様に、また妙な隠し事してんじゃないだろ なぁ?」
ソウルメイト探索魔術を、独学でこっそり修得 していたハイスペック執事だ。充分ありうる。
エルクはいぶかしげに青乃臣を見た。
「隠し事、ですか。そうですね。言葉は正しい ですが、エルク様に不利益をもたらすために隠 していたわけではありませんよ。
話す必要はない、と、判断したのです」
青乃臣は悲しげにため息をついて、楽観的な口 調で続けた。
「私は、そんなに信用されていませんか?
海よりも深く、大地のように広い心でエルク様 を見守らせていただいているというのに、はぁ 」
「最後のため息、わざとらしいぞ。
それに、そこらへんの本に影響されたような詩 人っぽい返しはやめろ」
「感性が高いとおっしゃっていただきたいです ね。
まぁ、詩人と言われて悪い気はしませんので、 誉め言葉だと受け取らせていただきますよ」
「ったく」


