「わかった。今晩だけ、時間をやる」
渋い表情で言い、カンタスターレはリビングの 大きな窓を開けた。
窓の外はテラスに続いている。
朝の新しい風が、三人の髪を揺らした。
「明日の朝には発つ。
ここから半時ほど空中移動した先に、アムド城 によく似た建物があるだろう。
夜が明けるまで、私はその建物の前で待ってい る」
偶然なのか、運命なのか。
カンタスターレは、未来の中学校をエルク達と の待ち合わせ場所に指定した。
「来なかったら、強制的に帰還させるぞ。いい な」
カンタスターレは威圧的な口調でそう告げて、 テラスへ出た。
華美なマントをはためかせ、魔術で空に向かっ て飛び立つ。
「ありがとう、親父!」
エルクは追いかけ、テラスの手すりに身を乗り 出し、はるか遠くのカンタスターレに向かって 手を振った。
「未来とは、今夜でバイバイ、か……」
エルクは寂しそうな顔で、カンタスターレが消 えた空を見上げた。
青乃臣はエルクのナナメ後ろに立ち、
「最良の時を過ごせるように準備しましょう」
未来はまだ寝ている。
彼女が起きてくる前に、二人は様々な準備を進 めた。


