エルクが後継ぎになることを不満に感じていな いと知った今、カンタスターレは一刻も早くア ムド城に帰還したいと考えていた。
立場的にも、そうしないと非常にまずいのであ る。
「エルク、何を言っておるのだ!
国民に知られる前に、ラークリマを元に戻さな ければならんのだぞ!
お前達の法律違反の件だけはない。
クロロプラストを、これ以上危険にさらしてい いはずがないだろう!」
「俺様のためにしたこととはいえ、ラークリマ 持ち逃げした張本人がそれを言うのかよ!
誰のせいだよ!
事前に相談してから持ち逃げしろっ!
いくら平和な国とはいえ、やることがダイタン 過ぎるだろ!」
エルクは連続して突っ込まずにはいられなかっ た。
「それを言われると痛いな……。
私は親バカなのかもしれん……じゃなくてだな !
お前の責任でもあるのだぞ、エルク!」
焦れるカンタスターレ。
「異世界のこととはいえ、お世話になったお相 手の元を無言で去るなど、クロロプラスト王国 王族の人間として、礼儀に欠ける恥ずべき行動 ではありませんか?」
カンタスターレの前に片ヒザをつき、青乃臣は冷静に交渉した。
「お願いいたします。私たちにお時間をくださ い。
一日。いえ、今晩だけでも。
このお屋敷で、エルク様と私は、未来様に大変 良くしていただきました。
ラークリマの探索に関しても、彼女は熱心に協 力してくださいました。
未来様に最後のお別れを告げるお時間をいただ けないでしょうか?」


