「そっか。せっかく気合い入れて作ったのに、 残念だな。

たしかに、ちょっと臭う気がするよな」

青乃臣の眠る脇、エルクは両手で鼻を押さえた 。

ちなみに、エルクと未来はパスタを食べていな い。

ミートソースのほとんどは作っている最中に焦 げてしまったので、焦げていない部分を青乃臣 に食べさせ、二人はカップラーメンで食事を済 ませたのである。

「ニンニク入れすぎは失敗だったけど、執事を 大事にする精神は良かったんじゃない?」

未来はフォローした。

彼女にほめられたのが嬉しく、エルクは飛び上 がりたいような気持ちになり、テンション高く 言った。

「だよなっ! 俺様のすることに間違いはない んだ。

未来、もしお前が倒れた時も、うまいもん作っ て元気にしてやるから、安心しろよ!

いつでも倒れていいからな!」

「いや、いい。自分で何とかする」

「なんでだよ! ここは『お願い♪』って頼む トコだろ?」

「そこまでの勇気はない」