「エルク様、おやすみになってください。
私なら平気ですから」
と言う青乃臣の言葉を右から左に聞き流し、エ ルクは一晩中、執事のそばにいた。
未来は途中で眠ってしまったが、彼女もエルク に付き合い、ベッド脇でケータイゲームをしな がら青乃臣の様子を見ていた。
看病といっても、何をしたらいいのか分からな いエルクは、ただひたすら、青乃臣のおでこに 乗せられた濡れタオルの交換をしていた。
数10分おきに、熱を吸ったタオルを、持って きた洗面器の水に浸し、しぼって青乃臣のおで こに戻す。
こんなにも懸命に働くエルクは珍しい。
また、青乃臣を気遣い心配するエルクの様子は 、未来の胸を打った。
“いつも偉そうにして変なことばっか口走る食 いしん坊としか思ってなかったけど、こいつで も、こんな風に身内の心配をしたり、一生懸命 になれたりするんだ”
見直したと言ってもいい。
未来のエルクに対する評価やイメージは、ぐん と良くなった。
ただのワガママな王子様というわけではなさそ うだ。


