日は沈み、すっかり夜になった。

エルクは目を覚まし、ぼんやりした頭でベッド から抜け出すと、部屋を出て一階に続く階段を おりた。

なんだか様子が違うと気付いたのは、ダイニン グに入ってからだった。

いつも漂っているはずの夕食の香りが、してこ ない。


「エルクさん、おはよう」

ダイニングテーブルの角。

席を立ち上がり、稔が言った。

「悪いが、今日は出前を取ることにしたよ」

稔の横には、伏し目がちの未来が座っている。

よく見ると、ダイニングテーブルの上には4人 分の寿司が置かれていた。

さきほど、近所の寿司屋に注文したばかりらし い。

「それはいいけど、ジョーは?」

エルクはけげんな表情で辺りを見回した。