屋敷中を見て回ったが、青乃臣はいなかった。
なぜこんなにも必死に同居人を探してしまうの か、未来は自分の思考を不思議に思ったが、深 く考えないことにした。
“いつもいるはずの人がいなくなったら、誰だ って心配する!
それがたとえ、身元の怪しい異世界人でも…… !”
未来は、最後、書庫に向かった。
夜は夜でものものしい雰囲気がするが、夕方の 書庫もどことなく不気味である。
方角の関係で、この部屋にはあまり日が射さず 、日中も薄暗いのだ。
それが夕方なら、なおさら。
中途半端に茜色が混じり、壁や床が不穏な薄暗 さに染められている。
そろりそろりと中に足を踏み入れ、未来は本棚 にそって書庫の中を歩いた。
窓が閉まっているせいか、古びた本の匂いが充 満している。
学校のみんなはこういった匂いに嫌悪感を示す けれど、未来は、古書独特のこの香りがわりと 好きだった。


