「未来ちゃん!
今、帰り?」
最初の信号にさしかかった時、クラスメ イトの男子が、未来に話しかけてきた。
彼は、未来の次くらいに成績優秀な少年 である。
「なに?」
未来がそっけない顔で答えると、少年は 頬を赤らめ、
「ゴールデンウイーク、みんなで遊ぼう よ。
僕たち、いま、いろいろ計画してるん だ」
「私は行けない。
親戚とパリに行くの」
断る口実だった。
未来には、旅行に行くような仲の良い親 戚はいない。
少年は残念そうにしつつも爽やかに笑 い、
「そっか、それなら仕方ないよね。
パリ、楽しんできてね。じゃあ!」
彼は、校門前に固まっていた男子の群れ に戻っていった。
大きなため息をつき、未来は自宅への道 のりを歩いた。


