未来への恋を自覚したからといって、すぐに何 か行動を起こせるほどエルクは器用ではなかっ た。

よく考えてみれば、これまでの彼は、自分で思 考し実行に移したことがない。

青乃臣の手助けがなければ、ここまでこられな かったのは事実だ。

王子という立場上そうせざるをえなかった。

だが、恋愛のことに関してまで執事に協力や意 見を求める自分の姿など、エルクは想像したく なかった。


リビングで青乃臣との会話を終えて自室にこも ると、エルクはベッドの上で仰向けになり、え んえんと考えた。

未来を守ることの意味を。

また、ほんの少しだけ、未来を好きになってし まった自分を認められない気持ちもある。

“俺様が、未来を好き……?”

地球人に好意など抱いてしまったら、後々やっ かいなことになる気がする……。

これは、王位を継ぐ者の勘だった。

だからと言って、無視できる感情ではない。

未来に対して胸が高まってしまうのも本当なの で、エルクはこの恋を認めるしかなかった。

“どっちみち、俺様がこっちにいられるのは、 ラークリマを入手できるまでの間だ”

冷静を装い、心の中でつぶやく。