青乃臣は憂鬱を振り払うように手のひらを上に 向け、ひょうきんな声音で、

「エルク様なら、無事にクロロプラスト王国を 救えると信じています。

この先何が起きても、私は全力でエルク様のサ ポートをいたします」

「ああ! これからも頼むぜ」

“エルク様は、私などとは比べものにならない ほど純粋なお方。

ラークリマだけではなく、きっと、未来様の心 も……”


エルクは自分の初恋に気付いた。

自分の嫉妬心には戸惑うばかりだったが、それ 以上に、未来のために何かをするのは楽しいの だと知った。

恋をすることで、良い方向に変わる自分を実感 している。


青乃臣もまた、自分ではエルクの恋敵にはなれ ないと理解していたし、主を裏切る気も起きな かった。


王子エルク。

執事青乃臣。

それぞれの目線や立場を踏まえて二人は、未来 と幸せな日常を過ごそうと心に決めたのだった 。












【5 エルクの初恋…終】