「そうですね。
エルク様はずっと、勉強などもお一人でしてみ えましたからね。
部屋には、家庭教師が来るのみで……」
「ああ。城にいるヤツ以外の人間とは、ほとん ど話せなかったしな」
エルクはため息をつき、ふと目の前のガラス製 短足テーブルの上を見遣った。
積み木のように、数冊の本が重ねて置いてある 。
絵本から専門書、長編恋愛小説、広辞苑、考古 学者のルポルタージュまで、ジャンルは様々。
「なんだよこれ。
今朝は置いてなかったよな」
「そちらは、外出する前に書庫で拝借した物で す。
ゆうべ未来様に許可をいただけましたので、家 事の合間に目を通していました」


