「なんだよ、ジョーまで。
どうせ俺様は何もできねぇよ。ふんっ」
青乃臣と比較されたことが面白くなくて、エル クはさっさと席につきそっぽを向いてしまった 。
「ヴァンパイアなんだから、トマトジュースで も飲んで大人しくしてればいいのに。
そしたらちょっとは、まともになるんじゃない ?」
意地悪を言う未来に、青乃臣が乗った。
「そういえば、未来様のかして下さった小説の 中のヴァンパイアは、好んでトマトジュースを 飲むと書いてありましたね。
エルク様はどうなのでしょう?」
「試してみる?」
二人は示し合わせたかのように視線を交わした 。
偶然にも、冷蔵庫の中には缶入りトマトジュー スが入っていた。
未来はそれをひとつ取り出すとプルトップを引 き、それらしい雰囲気を狙ってワイングラスに 中身を移し、エルクの目の前にズイと差し出す 。
ドロリとした赤い液体。
「バカか、そんなもん誰が飲むか!
それよりさっさと飯にしようぜっ」
強気な顔でトマトジュースを拒否するエルクの 横で、青乃臣が促した。
「エルク様。これも、立派な国王になるための 修行になりますよ」
「いつどこで何の役に立つ修行だよっ。
先にお前が飲め!
執事だろ? 勧める前に毒味しろっ!」
未来の手からトマトジュース入りワイングラス を奪うと、エルクはそれを青之臣の口元に近付 けた。
グラスの中、重みのあるトマトジュースがたぷ んと揺れる。


