「まだ太陽出てるし、外行くのは危険か?

仕方ねぇ、屋敷ん中でも散歩するか」

ジッとしているのは退屈すぎる。

「城にいる時は、あれやれこれやれって言われ て自由がないって思ってたけど、昼間に動けた 分、いまよりはマシだったかもな~」

廊下をうろつき、本も手にせず書庫を後にし、 ダイニングにやってきた。

テーブルの上には、青乃臣からの書き置きがある。

《今から少し出かけてきます。

おやつは冷蔵庫の中にあるので、好きな時にお 召し上がりください。

あ! 夕食までには戻りますので、くれぐれも 間食し過ぎないように。》

「ジョーのヤツ、俺様を置いてひとりで外出か よっ」

エルクは頬をふくらませ、いじけた。

「しかもアイツ、こっちに来てから口うるさく なってねぇか?

全然『従順執事』じゃねぇしっ!!」

睡眠時間だけで一日が終わっていくことへのも どかしさは、青乃臣への八つ当たりとなって口 に出る。