皆が外出している頃。

部屋のベッドで熟睡していたエルクも、日が暮 れるとようやく目を覚ました。

ベッドの中で上体を起こし、伸びをしながら大 きなあくびをする。

開いたままのカーテンから漏れる茜色を見て、 エルクはつまらなさを覚えた。

「あーあ。もう夕方かよ。

結局、寝てるだけで一日終わっちまう。

つまんねぇ、つまんなさすぎる……。

楽じゃねぇな、臨時ヴァンパイアってのは」

ため息をつきつつベッドを抜け出すと、先日未 来に渡された私服に着替えた。

ファンタジーゲームに出てきそうな王族の格好 は、エルクにとっては普通のものでも、未来に とっては異質なのだとか。

「そんな服装で出歩いてもらっては困る!!」

そう言い未来は、エルク達が来た翌日の夜にネ ットショップでエルク達の服(日本用)を調達 したのである。

彼女はもちろん、速達を希望していた。

「稔じいさんは、俺様の初期装備見て喜んでた のになぁ」

ブツブツ言いつつ着替えを終え、エルクは部屋 を出る。