青乃臣はラークリマを見つけ出すための呪文を となえたのだ。

最初からこうすればよかったのだが、今までそ うしなかったのには理由があった。

まず、ラークリマの位置が特定できなければ、 呪文は無駄に終わってしまう。

それだけは避けたかった。

異世界にきた今、呪文(魔術の発動)で無駄に 気力を消耗するわけにはいかない。

魔術を手助けするための自然オーラ。

クロロプラストと違い、日本の自然オーラは不 安定過ぎる。


また、無関係の人々に魔術を見せるわけにはい かない。

それなのに、こうしてグラウンドの人々を騒が せてまで青乃臣が呪文をとなえたのには、重大 な意味があった。

グラウンドにラークリマがある、と、直感した からだ。

青乃臣は自分の勘を過信してなどいないが、軽 視もしていない。

生徒たちのざわつきがおさまる頃、呪文はラー クリマのありかを導き出してくれた。

青乃臣の直感は、正しかったのである。