青乃臣は青ざめ、罪悪感たっぷりにつぶ やいた。

「《ラークリマは、純粋な魂を持つ者し か入手することができない。》

そんな伝説に振り回された私が、愚(お ろ)かでした。

国の命運も大切でしたが、私にとって は、それ以上にエルク様のお命の方が大 切なのです……。

こうなってみて、初めて気が付きまし た。

何の準備もせず日本まで空間転移をして しまったこと、本当に申し訳ありませ ん……」

らしくない執事の姿を前に、エルクはか すかに微笑んだ。

「……ジョー。もういいって。

ラークリマは、俺様が必ず手に入れてや るから……」


青乃臣に抱き抱えられて公園のすみに移 動したエルクは、芝生の生えた木陰に横 たわった。

「ヴァンパイア反応が出てしまった場 合、定期的に人間の血を体内に入れない と、寿命が縮みます。

空腹を満たすことだけを考えるのであれ ば、血を吸わずに普通の食事だけで充分 なのですが、ヴァンパイアはそういうわ けにいきません。

今のエルク様は、1ヶ月間血を摂取しな いでいると、寿命が1年縮みます」

「1ヶ月で1年……!?

ラークリマどころじゃねえよ、そ れ……!」

木陰で休み、体力を少し回復させたエル クは、やや強い口調で返す。

背筋を冷たくせずにはいられなかった。












【プロローグ…終】