プッと吹き出し、エルクは穏やかに言った。
「最初はあんなに邪険にしてたけど、未来って 、プリプリ怒りながらも稔じいさんのこと大好 きなんじゃん」
「いきなり何?」
未来は小悪魔的に小さく笑ってみせる。
エルクの胸は震えた。
バイオリンの音色を聴いた時のように、じんわ りと。
未来は彼に背を向け、
「よく言う『反抗期』ってヤツかも。
アンタには経験ない?
親や身内に、反抗心あらわにしちゃうこととか 」
「反抗期? うーん。よく分かんねぇな。
ラークリマ持ち逃げした親父にはさすがに腹立 ったし、最初は異世界なんかに来る気なかった けど、今はけっこうなじんできたし……。
ま、抵抗する間もなく、ジョーの魔術で無理矢 理ワープさせられてたしな」
そこでエルクは、自分の変化に気付いた。
日本に来る前は、周囲の人々に文句を言い、思 うようにいかないと青乃臣に八つ当たりしてき た自分。
けれど、最近はそういった言動を取った記憶が ない。


