「そんなっ……」
未来はこわばった表情でエルクを見つめた。
思考がついていかないのか、彼も、未来と同じ ような顔つきをしている。
学友と『夢』について語ったことはないが、未 来はこう考えた。
まったく同じ時間に同じタイミングで同じ夢を 見るなど、普通ではありえない、と。
“エルクが異世界人だから、こんな奇妙な現象 が起きたんじゃないの……?”
ざわつく心とは裏腹に、未来は淡々とした言い 方で、
「おじいちゃんの言う通り、アンタ達って本当 に異世界人なんだね」
「やっと信じてくれたか!」
エルクは自慢げに胸をはり、
「そうだぜ。俺様は、緑豊かなクロロプラスト 王国の王子。
はるばる日本にやってきた、エルク様だ」
「自己紹介とかいらない」
未来はすわった目で返す。
エルクはうなだれ、
「お前も少しノッてくれよ。
俺様はほめられて伸びるタイプなんだから」
「肩書き知って何をほめたらいいのか分かんな い。
『立派だね~』とか? んなこと思ってもない し。
数年後には社交辞令も得意になってるだろうけ ど、今は見逃してよ」
「社交ダンス!?
俺様踊るのは得意だぜ。
よく、パーティーでやらされてたしっ」
「いつ誰がダンスの話をした」
あきれ顔の未来。


