先程まで夢乃を照らしていた夕日は、暗い空に飲み込まれようとしていた。



どれくらいの時間が経ったのだろう。



男は特に返事を待っていないのか、柵の上に座り空を見ている。



「・・・・・疲れたんです・・・・」



絞り出すように出た夢乃の言葉。



それが夢乃が精一杯考え絞り出した答えだった。



「学校でずっとイジメられているんです。毎日毎日・・・私は殴られ笑われる為に学校に行っている。・・・・いつまで続くのかも分からない・・・」



今まで我慢していた物が全て溢れたかのように、夢乃の目からは涙がこぼれる。



「誰にも相談できない・・・誰も助けてくれない・・・・」



一日過ぎるごとに、夢乃の中にあった戦う力も、希望も段々なくなっていった。



今では・・・・何も残っていない。



「私は・・・もう疲れたんです・・・・」