「‥なんで練習いかないの?」
3組の教室に響く低い声。
いつもとは打って変わってシーンとしている。

蝉の鳴く声だけが低い声と調和して響く

「行かない理由、怒らないから言って」
この低い声に少し教室がざわつく。

めんどくさい
合唱なんかやりたくない
つまらない
違うことしたい
提出物のほうが大事だし

そんな声が四方八方から飛ぶ。
「でもさあ!」
立ち上がったひとりのヒト

「決めたんだからやろうよ。
やらなきゃいけないんだから。
自分の意見に責任持たないと」

みんなの視線は彼に向けられる。
分かってる‥けどさあ
そんな目を彼に向けるみんな。

蝉の声しか鳴っていない教室

また響く低い声

「秀が正しいだろう‥
みんな分かっとるよね?」