「イクゥは帰れば?」
見下すように、無表情のままそう言うユンファに
カッチーンと来た
何その言い方!
「そうですね
じゃ、お疲れ様でした
また次回宜しくお願いします」
バッと鞄を手にして退室しようとした時、視界に牧田さんが入った
「お疲れ様」
口角が釣り上がり、凄く嬉しそうだ
さっきまであんなに不機嫌だったくせに!
「イクちゃん、夜また連絡するよ」
藤堂さんのその声に
「はい」
そう言うと、
「またね~」
メンバーの優しい声に
「はい、また」
心癒された
見向きもしないユンファに、
私はまた気分を害してそのまま部屋を出た
何だ!あの男!!
そんでもって牧田!!
あーもう!!
ムカつく!!!
たった二時間そこらの時間で、有頂天だった気分は、表現出来ないくらいに悪くなった
会社を出て、駅までの道のりでたまらなく我慢がならず
イライラとしながら、私は友人の塚原泉に電話をかけた
「マジでありえへんねんけど!」
興奮したまま、電話に出た泉にすぐに話しはじめる私
「待って待って、何があったん?」
待ってとか、お前もか!
と、泉にもイライラとしながら
「さっき、仕事に行って来たんやけどさぁ!」
「仕事?!え?!」
驚く泉に
…………あ、泉に話すの忘れてた
泉は学生時代の同級生で、一緒に東京に出てきた親友だ
電話口で戸惑う泉に、簡潔に超早口で説明する私
「…すごいなぁ」
おっとりとした口調で、返す泉に
正反対で超マッハの私
「あたしもSOUTHのメンバーに会いたいわ~」
全然私の話を無視して言う泉に
「そのうちな」
と、返す
泉に会わせたら、大変な事になる

