藍い月と…



『解ったら連絡頂戴

宜しくね―――…絃静(ゲンジョウ)さん』


アタシに絃静、そう呼ばれた人は

世界でもトップクラスの天才ハッカー

蜘蛛の巣の様に張り巡られたセキュリティーだって

いとも簡単に潜ってしまう程の腕

足跡は一切残さず、けど欲しいと

思った情報は必ず手にする

それが絃静さん


「解った、それよりも依琉お前…」


『絃静さん、その話は今度話すから』


絃静さんの言いたい事が解ったアタシは、

言葉を遮らせて貰った

絃静さん、アナタは調べようと思えば

あの事件の事なんて直ぐに解るだろう

でも、調べないで居てくれる絃静さん

凄く感謝しています

アタシがアナタを頼るのは、

そういった面があるからだ


『じゃ、待たねえ』


アタシは返事も待たずに通話を切った



今回アタシが絃静さんに依頼したのは

どうしても空良が気になったから

藍王の事、覇凰の事、匡の事、

そしてアタシの事

空良から出された言葉にそれらの

ワードが必ず入ってくる

それにあの探るような目と異様なオーラ

アタシの勘が正しければ、

空良は“危険人物”