JOINT〜ひとりじゃない〜

「あぁ、川中が！」

せっかくのチャンスが、俺の不注意のせいで水の泡と化した。
もちろん、全責任が俺にのし掛かった。

「お前のせいで川中を逃したんだぞ！どうするんだ！」

「せっかくのチャンスが…小林！！」

そりゃあ当時張り込みしていた刑事たちから野次を飛ばされ、にらまれ、蔑まれ。周りも俺じゃなくて側にいた刑事たちに同情。あっと言う間に孤立無援。
もう、クビも降格も覚悟していた。
だが処分は、クビでも降格でもなかった。

「特務課へ…異動ですか？」

「ああ。荷物はまとめたから、早く特務課に行きな」

上司から投げやりに言われて、俺は特務課と呼ばれる部署へ移した。
その時言われた、「どれ位もつかな」と言う言葉が引っかかった。どういう意味なんだ？と思いつつ特務課へ。
それまで俺は、特務課の意味が分からなくて、どんなだろうと半分ワクワクしていた。
しかし、「特務課」と言うのが、実は警視庁の中でもブラック、むしろダークな存在だと言うのをまだ知らなかった。