ドアの向こう

ガチャっ!
「うわっ!」
「きゃ!」

小気味のいい音をたてて、
ドアが開いた。

と、同時に私と田中さんが支えを失って思い切り倒れる。

田中さんが私の上に倒れてくる。
重い。

そして上を見上げると、

そこには、一重で黒髪の男が立っていた。

こちらを見下ろしている。

「あ。すいません。ありがとうございます。」

慌ててお礼を言う。

「邪魔しましたね。こんな時間に音がしたんで、泥棒かと思ったんで。」


ドキッとするほど、色気のある声だった。

「じゃ、邪魔じゃないです!この人酔っ払ってて、困ってたんです!」

「ふーん。じゃ。」

そう言って上の階へ戻ろうとする後ろ姿には、
見覚えのある大手運送会社のマーク。

「あ、本当ご迷惑おかけしま…痛っっ!!」

倒れて、そのまま寝てしまった田中さんをどけて立ち上がろうとした時、

足に激痛が走った。

倒れた時に足を捻ったようだ。

「最悪…。」

一人で呟いていると、
上からさっきの男の人が見ていた。

「あ…」

見られていた恥ずかしさで顔が赤くなる。

「…ちょっとそこ座っててください。」

そう言って階段を昇っていった。