ドアの向こう

その台詞の通り、
寝ている田中さんの横で
おとなしく座って待っていた。

というより、動けなかった。

あの声。

魔力でもあるかのように、
一言一言が心臓を鳴らして、
気付くと服従してしまっている。

信じられないくらい胸がドキドキしている。

待っているとどうなるの?

考えただけでクラクラする。

どれだけ待てばいいのだろう?
私は何をしているんだろう。

思考が止まらない。

あの青い作業着の後ろ姿が
目に焼き付いて離れない。


田中さんの寝息の側で
永遠にも感じる10分間、
私は忠犬のようにジッと座って
あの青い作業着の彼を待ち続けた。