私が大好きだったピアノ。

家で何度弾いてもうまく弾けるのにあのクラスを前にすると弾けない。

それが悔しくてまた何度も切った。


そんなある日救いの手があった。

それは

『早川先生』

早川先生。


早川先生はすごくいい人。

理科の先生だけど内の担任とは比べ物にならない。

27歳であんなに生徒のこころを読むなんて。

先生はすごく優しい。


優しさしかない。

面倒くさいことを面倒だとおもわない。

いや思ってても顔に出さない人。


そんな優しさがつたわってくる。


私は気づかぬ内にその先生に恋をしていた。

私が家出するとどんなに疲れてても迎えにきて話を聞いてくれる。

その理由がどれだけくだらなくてもただ抱きしめてくれる。

先生のことが大好きだった。

きっと片想いで終わるけど.


だって…


ありえないよ。


先生と生徒の恋なんて…


でも先生は私の手を握ってくれる。

私だけ特別だと言ってくれる。


何気なく言った言葉も私にはかけがえのないものだった…



だけど楽譜が読めなかったこと。


それがストレスでまた切ったこと。

それは言えなかった…


恥ずかしすぎて…

情けなさすぎて…


でもね先生。


本当は助けて欲しかった…


先生にたすけてほしかったよ…


先生はいつも私を救ってくれた。


大好きだった。

『先生。元気?』

『杏音の顔見たら元気になったよ』

『またまた〜。そんなこといったら真に受けるからね。』

『いいよー別に。最近は?順調?』


順調?それは悩みはないか?って意味。

あるけど言えないよ…


『もち!順調よーん!』


笑って見せる。

必死で。

『よし!いい笑顔だー!』

いい笑顔…なんだね

『先生も一日頑張ってね!』

いつも先生を追ってしまう。


他の子に優しくすればヤキモチもやく。

バカだね。私…