治療を終えて片付けた親父が、離れた所から手招きしている。
玲奈には聞かれたくねぇ話か。
「ちょっと待ってろ。」
「ん………」
最後に額に唇を当てて、優しく髪に指を通した。
動かない腫れた口元を微かに動かして、笑った。
それすら痛々しい。
ゆっくりと離れ、出来るだけ早く戻るために親父の所へ急ぐ。
「なんだよ?」
「あの子と態度が違いすぎるだろ。」
呆れたように言いながらも、顔から深刻さは消えない。
「率直に行ってしまえば、ちゃんと病院に連れて行った方がいい。」
応急治療とはいえ、やっぱり厳しいか…