君といた夏




もう、だめだ。



私は結局、日向ちゃんには勝てない。




フラッシュバックする、過去の記憶。



あの恐怖の毎日の、記憶。




愁くんだけが味方だった、私の中の狭い世界。





「った……!!」



殴られ、蹴られ。



日向ちゃんが怖くて、恐ろしくて。




「……な…んでっ?」



「はぁ?」




蹴る足を止めて、日向ちゃんが私を見下ろした。




「なんで……?私たち、友達だったよね?」



こんないじめが始まる前、私と日向ちゃんは誰よりも仲良しだった。



いつも2人で一緒に笑ってた。




最悪だった中学生活の、唯一の幸せだった時期。