もう、だめだ。 私は結局、日向ちゃんには勝てない。 フラッシュバックする、過去の記憶。 あの恐怖の毎日の、記憶。 愁くんだけが味方だった、私の中の狭い世界。 「った……!!」 殴られ、蹴られ。 日向ちゃんが怖くて、恐ろしくて。 「……な…んでっ?」 「はぁ?」 蹴る足を止めて、日向ちゃんが私を見下ろした。 「なんで……?私たち、友達だったよね?」 こんないじめが始まる前、私と日向ちゃんは誰よりも仲良しだった。 いつも2人で一緒に笑ってた。 最悪だった中学生活の、唯一の幸せだった時期。