「………。」
ゆっくり離れ、もう一度キスされる。
長い、重ねるだけのキスなのに。
パニックの頭が落ち着いてくる。
「ーーーーー俺が、お前の過去からも守ってやる。」
ずるい。
キザなセリフだって、全部違和感なく、かっこよくなっちゃうんだ。
ゆっくりと離れた唇。
それと共に、涼は私を持ち上げて、今度は正面から抱きしめる。
頭と背中に手を回し、泣いた子どもをあやすように、リズムをとって背中を撫でてくれた。
「俺だけじゃない。伊藤も愁もいる。」
「涼……っ」
涼のワイシャツを掴む。
やっぱり、涼からは離れたくない。

