君といた夏




答えられなかった。



答えを知らなかったからじゃない。


伊藤の怒りが伝わってきて、その迫力に俺は動けなかった。




「『日向の命令よ』そう言われて、玲奈は意識を失ったの。」



野々崎、日向………


また、俺のせいかよ。



ネガティブな俺の思いは、伊藤によって壊される。




「あんたが守るんじゃないの?!

あなたは自分のせいだって、勝手に身を引いてるんじゃないわよ!!
誰のファンクラブとか、関係ないでしょ。相手が誰なんて、関係ない!

誰であろうと、ーーー好きな彼女を守らない彼氏がどこにいるのよ!!」



体が自然に、動いた。


伊藤に、気付かされた。





俺は一体、何にビビってたんだ。




俺のファンクラブ?


そんなの、関係ない。



俺は、玲奈を誰からでも守らなきゃいけねぇだろうが!!