ん?
この駅、あのときと一緒だ
4年前のこの時間に
あたしを抱きしめてくれた壱成
『無防備すぎなんだよ』
なんて言われたんだっけ
あのときはまさか自分が
『壱成のお嫁さんになる』
なんて言うって想像もしてなかった
「おい!なにボケッとしてんだよ
早く行くぞ」
もう!せっかく思い出に浸ってたのに~
そんなことよりも
壱成がスタスタ歩いてっちゃう!
壱成ったらなによ!
昨日は酔っぱらって
あんなにあたしに甘えてきたくせに…
かわいいところもあるじゃん
って思ったあたしがバカみたい
「壱成、はやいー
女の子にペース合わせてくれるのが
男ってもんでしょ」
「遅いおまえが悪いんだよ
ほら、手繋いでやるから
んな、むすっとすんなって」
結局そうやってあたしをドキドキさせる
「壱成ずるい…」
あたしは壱成に聞こえないように
つぶやいた
「俺はいつでもずるいんだ」
って!聞こえてるし
………そんな顔して言わないでよ
反則なんだからね

