ちょっと前の出来事
保健室から出たあたしたち
「あっ!あたし鞄、教室に置いてきちゃった」
急いで教室に戻ろうとするあたしを
壱成が引き止めた
「一緒に行ってやる
どーせ、怖くて一人じゃ行けないんだろ?」
いつもの壱成が炸裂してる
でもあたしにしか見せない本当の壱成だから
なんだか嬉しい
そんな気持ちとは裏腹に出てくる言葉は
「一人で行けるもん」
はぁ…
あたしってかわいくないな
こんなとき素直に「ありがとう」って言えたら…
「……ああ!
おまえってやつは、ほんとかわいくないな
この俺が着いてってやるって言ってんだから
素直に甘えろ」
「なにそれ…
あたしだってこんな暗いんだから怖いよ
着いてきてほしいよ…
もっともっと壱成と一緒にいたいよ………」
あたしなに言ってんだろう
どうしよう…
また泣いてる
こんなことしてたら
壱成に嫌われちゃう
なんて思って泣いてたら
壱成の温かさに包まれた
「俺が雅と一緒にいたいの
だから一緒に行こう、な?」
「いっ…ヒックせい…ヒッのばか…」
「俺のことばかって言うなんて
おまえなんかされたいのか?」
「ち、違うよ!そんなんじゃない!」
「そんなんってなんだよ?
それにおまえ、顔真っ赤だし」
今日のあたしどうかしてる
ちょっと壱成に甘えてもいいのかな
ふっとそんなことを思っていた
「壱成…
あのね、一緒に…来てほしい…」

