そんなふたりが恋してる。



新人くんたちへの説明も終わり

ただいま卒業論文とにらめっこ中です



全くアイデアが浮かばず泣きそう…



そんなとき、






「そんなしかめっ面して
なにをやってるかと思ったら、

卒論かよ


俺はとっくの昔に書き終わったけど」






あたしの大好きな声


彼が来てくれるときはいっつもこう


人をバカにして!



でも、嬉しい



壱成が来てくれたってだけでね



「だって全然思いつかないんだもん

このままじゃ卒業できないかも…」



「なにバカなこと言ってんだよ

さっさと終わらせないと
俺の“お嫁さん”にはなれないな?」



「もう!恥ずかしいからやめてよ!」



「はいはい、桜 雅ちゃん?

早くしないとおいてくぞー」



最近、壱成は

『俺の“お嫁さん”』とか

『桜 雅』っていうワードばっかり言ってる



あたしが恥ずかしがってるから
わざと言ってるんだけどね




でもそれが嬉しかったりする

壱成に愛されてるって実感できるから




「あたしの旦那さんになる人は
もっと優しいんだから」



壱成に聞こえないようにつぶやいた



「何て言った?」




「秘密ー!」





「なんだそれ

まっ、早く行くぞ

久しぶりのデート楽しみにしてたんだろ?」




壱成が手をさしだしてくる

あたしはその大きくて温かい手を
ぎゅっと握りしめる



「うん!レッツゴー!!」



あたしは満面の笑みを浮かべて
壱成の隣を歩いた