「雅、ちょっと来い…」
沈黙を破ったのは壱成
いつも壱成から
あたしは壱成に頼りっぱなし
ほんと自分がダメに思えてくる
壱成が何にも言ってくれなかったら
あたしきっと駅前でぼーっとしてた
あたしはうなずいて、
壱成の後ろを着いていった
時刻は午後5時
だんだんと辺りが夕日の赤色に染まっていく
壱成が連れてきてくれた場所は
海
夏だからたくさんのカップルや家族連れが
遊んでいる
そこから少し歩いたところに
誰もいない静かな浜辺があった
「ここ、座れよ」
壱成が隣をぽんぽんって叩いた
あたしは何も言わずに腰を下ろした
壱成がゆっくりと話し出した

