約束の5分前
時間に間に合ってよかった
……壱成はというと
いない
身長高いんだからいつもなら
すぐ見つけれるんだけど…
まだ来てないのかな
なんて思ってたら
後ろからふわっと何かに包み込まれた
「みーやび、お待たせ
そんな可愛い格好して立ってたら
怖いお兄さんに連れてかれちゃうよ?
おまえ、ちっさいんだしな
無防備すぎなんだよ、分かったか?」
「ちょ、ちょっと!壱成!
人前でこんなことしないでよ!
離してー!!」
「やだ」
「やだ、とかなに駄々こねてんの?
幼稚園児じゃあるまいし。
早く離して!ばか壱成!」
「あ?なんだよ、ばか壱成って
俺おまえより頭いいんだけど
そんなこと言っていーんだ?
みーやびちゃん?」
もうここまできたら手におえない
いつもあたしが負ける
こうなるって始めから分かってたけど
「もうばかって言わないから
何でも言うこと聞いてあげるから
だから離して?ね?」
「今の言葉、忘れんなよ」
なんてカッコつけちゃってさ
結局、離してくれるんだけどね
はあ…
完全にあたしたちバカップルじゃん
まわりからの目線が痛いんですけど…
壱成はこういうこと何でもしちゃうんだから
あたしの心臓もたないよ

