「うるせぇ!もうお前とはやってらんねぇよ!」
涼太は、教室から出ていってしまった。涼太というのは、私の彼氏で、本名は宮川涼太。私は奥田美羽。

あれは、数日前のこと。

私は友達と遊んでいた。すると、友達の中の一人が言った。
「ねぇ、あれ、美羽の彼氏じゃない?」
友達が指差した方向を見ると。
涼太と綺麗な女の人が親しげに話しながら歩いていた。見間違えたかもしれないと思って何度も目をこすって確認したが、私が見間違えるはずがない。
あれは、紛れもなく、涼太だった。

そして放課後、私は涼太にそのことについて問いただしてみたのだ。
「ねぇ、この間、女の人と一緒に歩いてたよね…。あれ、だれ…?」
涼太は戸惑いながら
「いや、あれは、別になんでもねぇよ。」
と言った。
涼太のことは信用したいけど、あんな光景を自分の目で見てしまうと、不安で不安で、たまらなかった。涼太が取られるんじゃないかって。
だから私はさらに問いただした。
「でも、私見たの!何してたの?!誰なの?!ちゃんと言ってよ!」
すると涼太が、急に叫んだ。
「うるせぇよ!なんでもねぇっつってんだろ?!」
と。怖い。でも、私は言い返した。
「やましいことがないなら、教えてよ!」
「うるせぇ!もうお前とはやってらんねぇよ!!」
涼太はさらに大きな声で叫んだ。
そして、教室から出ていってしまった。
「なんで、こうなるの…?」
私はその場にしゃがみこんだ。
「明日、私の…誕生日なのに…。」
そして、泣いた。
1時間位泣いていただろうか。
気づくと外はもう真っ暗で、部活も終わっていた。
私はのそのそと立ち上がると、鞄を持ち、教室を出た。
周りを見ず、いろんな人にぶつかりながら、魂が抜けたかのようにゆっくり、ゆっくり、歩いていた。
すると、右のほうから大きな音が。

ププーーーーーーッッ!!

気づいたときにはもう遅かった。
私の体は宙を舞い、地面に叩きつけられていた。でも、なにが起こったか分からなかった。
「女子高生が車にはねられたぞー!」