私が黒板に視線を移そうとすると、彼の視線はもう違う方向を向いていて、少しホッとした。
それに、もう無表情になっていて、私の方は見ようとしない。
…謎すぎる。
ミステリー、ミステリアス。
「睨まないで下さい」
…ばれた。
彼はどうやら天才のようだ。
「すんません」
それだけ言うと、私は意味不明な暗号をノートに写しはじめた。
なにこれ。
なんでP点勝手に動くの。
なんでそれを求めなきゃいけないの。
…数学は一生好きになれそうな気がしない。
深くため息をついて、窓の外を見た。
やっぱり空は綺麗で、鳥たちが優雅に羽ばたいていた。
あぁ、あんな空を飛ぶなんて、さぞ気持ちよかろうね、鳥たちは。

